【孫正義】愛は脳を活性化する【松本元】




【孫正義】愛は脳を活性化する【松本元】

「愛は脳を活性化する」と孫正義

ソフトバンクの孫正義さんの愛読書として有名です。
この本はタイトルで結論を言ってますが、要するに愛は脳を活性化するのです。

この本を読んでから改めてソフトバンク新30年ビジョンを見ると、孫さんに与えた影響力の強さを感じます。

▲ソフトバンク新30年ビジョン

本の説明

どんな人が読むべきか

  • 論理的に納得できないとモヤっとする人
  • AIや機械学習に興味がある人
  • 他人を指導したり指示をする仕事を持っている人
  • 子育てに悩む親御さん

いつの本?

1996年9月24日 刊行

著者について

松本 元

引用

1940年東京都生れ。東京大学理学部卒。同大助手を経て、通産省・工業技術院電子技術総合研究所へ。同超分子部長などを歴任し、同首席研究官。
日本の「脳型コンピュータ」開発の旗振り役。脳は自分でアルゴリズムをつくっていくが、コンピュータにはない。
この観点から脳が得意とするパターン認識などの情報処理能力を備える脳型コンピュータ開発が専門。コンピュータにつきまとう「かたさ」の壁を打破し、
「柔らかい対応のできる脳以上の性能をもつ」システムの開発だ。
ヤリイカの神経細胞からはじまった研究は、世界で初の大規模な神経回路シミュレーターの開発にまでこぎつけた。
「愛が脳を活性化する」との氏の仮説は、脳神経細胞の研究とともに人間とは何かとの哲学的なテーマに行き着く。
物理学者が陥りやすい「モノ」の技術革新にとどまらず、「心」を失わない開発戦略に持ち味がある。

引用元:PHP研究所

本の要約

脳とはどんなコンピューターか

序盤は現代のAIや機械学習の仕組みに繋がるような、コンピューターと脳の話から始まります。
脳は学習によって作り上げた内部情報をもとに外部出力する情報処理システムであるという話。
人間も入力された情報から答えを脳から検索して出力しているわけですね。
クイズや受験の回答を想像すると分かりやすいですが、何かを見たり聴いたりした時に、表情や行動といった方法で出力する事もありますよね。
これらは全て過去の記憶や遺伝情報から反応を出力しているのです。

脳型コンピューターの開発

本書ではコンピューターと脳の大きな違いの一つは、脳は「不完全な入力情報やあいまいな入力情報に対しても、何らかの適切な対応ができる」としています。
今ではGoogle検索で誤字を入力しても、ある程度は直してくれますよね。でもそれは「こういう間違い多いんだよね」
「その言葉は情報が少ないけど、これならメッチャあるよ。間違ってない?」
というパターンをあらかじめ設定しているわけで、入力した人の表情や声のトーン、雰囲気などを読み取っているわけではありません。
と、そんな感じで(実際にはもっともっと深く専門的)実用に耐える脳型コンピューターの可能性に迫っていきます。

脳を効率的に働かせる三段階の要素

  1. 「快」と感じること
  2. 1で「不快」と感じたが、次の段階で価値を感じたこと
  3. 繰り返し繰り返し入ってくること

かなり簡単に説明していますが、「褒めて伸びる」と言われるのは脳科学的に見ても正解なんですね。

1段階目で「嫌だ」と感じた事も、2段階目で将来のための行動だと意識したり、あるいは親や上司に言われて行動を起こすことで脳が働きます。
ただし「自律的に脳回路を形成するのに比べて低いし、その結果、身体的な系も含めて疲労しやすくなる」としています。

3段階目は「弱い刺激であっても、繰り返し脳に入力される場合には、学習効果が生じる。」としています。
習慣づけて勉強していたり、あるいはテレビCMもそうですよね。
特に感情も刺激されず、これといった価値が見いだせない情報でも、繰り返し入ってくると記憶されます。

人気のオンラインゲームなんかは本当に凄いですよね。
ユーザーを褒めて気持ち良くし、目的を持たせ、時には仲間に刺激され、習慣化させる。
脳を働かせる三段階が全て詰まっています。

愛が脳を救った

自動車事故で頭部に損傷を負い、意識不明の重体だった男性が妻との面会で意識を取り戻した話。
そして同じように自動車事故で右頭蓋骨陥没・右脳に損傷を負った高校生が、ご家族の献身的な介護によって、
正常に回復して大学に進学するという奇跡のエピソードが紹介されています。

本書の印象的な一節

脳は「できる」と確信する(仮説を立てる)と、その「確信」の論理的な後ろ盾を与えるべく認知情報処理系がフル活動をする。
そのため「できる」と確信したことは必ずできるようになる。逆に「できない」と確信してしまうと、
脳は「できない」ことの論理的理由を明らかにするように働き、できる可能性をどんどん縮小する方向に働く。

まとめ

かみ砕き過ぎてカスっカスの情報になってしまいましたが、本物の本書はハンパなく濃いです。
誰しも何となく感じていた事を、科学的に分析しているので理解しやすいです。

「そういえばお婆ちゃん言ってたよ!そういう事だったんだね!」

と、思わずお婆ちゃんを尊敬してしまう。そんな一冊です。

愛は脳を活性化する (岩波科学ライブラリー)

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