令和に入り、ますます増加する副業やフリーランス。
「増えているとは聞くけど実際どーなの?」
中小企業庁が発表した2019年版「小規模企業白書」の中から今話題の「副業」「フリーランス」の実態を読み解いていきましょう。
目次
はじめにまとめ
- 起業の担い手は減少傾向にある
- 副業起業希望者及び副業起業準備者は増加傾向にある
- フリーランスの存在も小さくない
- 全体から見れば少数ではあるが女性や高齢者の起業の担い手が存在感を増している
小規模企業者の数は年々減少している
まず小規模企業者と言われてもピンと来ない人に小規模企業者の定義を説明します。
卸売業・小売業・サービス業・・・従業員5人以下
商工会及び商工会議所による小規模事業者の支援に関する法律(小規模事業者支援法)、中小企業信用保険法、小規模企業共済法の3法においては
政令により宿泊業及び娯楽業を営む従業員20人以下の事業者
補足すると日本の企業者の80%以上が該当すると言われています。
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※中小企業庁2019年版「小規模企業白書」第2章 フリーランス・副業による起業
起業希望者数、起業準備者数、起業家数ともに2007年以降は減少傾向にあります。
起業家数の減少割合は、起業希望者数と起業準備者数の減少割合に比べて緩やかであり、副業として起業を希望する者や準備をする者は増加しています。
「起業している!」人も減ってはいるが「起業するつもり!」「起業したい!」人ほど減っていない。
副業として「起業するつもり!」「起業したい!」人は増えている。
起業の準備を阻害する要因
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※中小企業庁2019年版「小規模企業白書」第2章 フリーランス・副業による起業
起業希望者が起業準備に踏み切れない理由として、40歳未満では、男性が「知識・能力に自信がない」が最も多く、女性は「出産・育児のため」が過半を占めています。
特に若い年齢層の女性は「出産・育児のため」という回答が多く、起業希望者にとって育児が起業準備を阻害する要因の一つと認識されています。
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※中小企業庁2019年版「小規模企業白書」第2章 フリーランス・副業による起業
しかし、実際に起業した者の「育児」の状況について見ると、男女ともに非起業家よりも「育児あり」と回答する割合が高くなっています。
起業家には、育児と仕事を両立している者も少なくない割合で存在していて、非起業家に比べて働く場所や時間などを比較的自分でコントロールしやすい立場にあることも一つの理由になっていると推察されます。
女性は「出産・育児のため」起業できない人が多い。
しかし、実際に起業している人は働く場所や時間などを比較的自分でコントロールしやすいため、育児と仕事を両立している人が少なくない。
起業家の起業分野
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※中小企業庁2019年版「小規模企業白書」第2章 フリーランス・副業による起業
男女別に見ると、男性は女性に比べて「建設業」、「製造業」、「運輸業」、「情報通信業」、「卸売業」が多く、女性は男性に比べて「小売業」、「飲食店」、「生活関連
サービス業」、「医療・福祉」、「教育」が多くなっています。
年齢別に見ると、「情報通信業」は若い世代にかけて割合が高く、士業関係が含まれる「学術研究、専門・技術サービス業」は年齢が高まるにつれて割合が高まる傾向が見て取れます。また、「農林漁業」については、60 歳以上の年齢層に加え、25歳以下の年齢層における割合が比較的高くなっています。
女性は「小売業」「飲食店」「生活関連サービス業」「医療・福祉」「教育」。
若者は「情報通信業」。
士業などの「学術研究、専門・技術サービス業」は歳を増すごとに増える。
「農林漁業」で起業する若者が意外と多い。
副業として事業を営む者の推移
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※中小企業庁2019年版「小規模企業白書」第2章 フリーランス・副業による起業
全有業者のうち、主な仕事のほかに副業をしている就業者数は、2002年以降増加傾向にあり、2012 年から 2017 年にかけて 21.6%pt 増加しています。
2017年の副業者数は全有業者数の3.5%となっています。
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※中小企業庁2019年版「小規模企業白書」第2章 フリーランス・副業による起業
副業希望者数と副業起業希望者数の推移を見ると、副業希望者数は右肩上がりとなっています。
そして副業起業希望者についても、2002年以降おおむね増加傾向にあります。
「他の会社でも副業したい!」人も増えている。
「自分の事業で副業したい!」人も増えている。
フリーランスの起業
※フリーランス=特定の組織に属さず、自らの持つ技術や技能、スキルを拠り所に個人で活動している人
フリーランスの人口規模
※中小企業庁2019年版「小規模企業白書」第2章 フリーランス・副業による起業
本業及び副業にてフリーランスとして活動している人は約440万人存在していると推計されています。(2017年12月時点)
就業者数全体に占める割合は約7%になります。
本業フリーランスの職種構成
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※中小企業庁2019年版「小規模企業白書」第2章 フリーランス・副業による起業
本業フリーランスの職種構成を見ると、「専門職・技術職」や「分類不能の職種」が約7割を占め、就業者全体と比べるとその差が際立ちます。
フリーランスは個人の「技術や技能」の提供を前提とする職業のため、「専門職・技術職」という回答が必然的に高くなるものと考えられます。
フリーランスの職種の変化
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※中小企業庁2019年版「小規模企業白書」第2章 フリーランス・副業による起業
本業フリーランスとその他の就業者で前職と現職の職種の変化を見たもので、フリーランスは前職から職種を変えている割合が高く、その他の就業者に比べて柔軟に職種を選択していることがうかがえます。
就業者の100人に7人がフリーランス。
本業フリーランスの職種は「専門職・技術職」「分類不能の職種」が約7割を占める。
本業フリーランスは、前職から職種を変えている割合が高い。
参考:2019年版「小規模企業白書」全文-第2章 フリーランス・副業による起業