企業の副業解禁やフリーランスの増加で日本でも個人で事業を行う人が増えてきました。
多くの人の概念が労働時間を売るという事から価値を売るという事に変わっていくのは非常に良い事だと思います。
個人事業を行う上で、スキルにばかり意識が向かいがちですが、私はまず経営理念を掲げる事をオススメします。
「んな大げさな~」と思うかも知れませんが、小中学生の「〇〇の家ってこうだよねぇ~」みたいなもんです。
家系に伝わるクセみたいな。
まずはそんな感じで気軽に捉えてみてください。
経営理念を個人に置き換える
個人事業で経営理念というとなかなか難しいですよね。
経営学の視点で簡単に個人に置き換えると
経営理念とはプロフィールという事になります。
事業を始める上で最初になんとなく思いつくのは「目標」だと思いますが、それはビジョンであって理念ではありません。(ビジョンも大切ですが今回は説明しません)
なぜ経営理念=プロフィールなのかというと
商売というのは必ず利害関係者が存在します。
自分、お金をもらうお客様、お金を払う仕入先や外注先や従業員、そして社会
自分だけではなく事業に関わる全ての人のバランスをとりながら価値を提供しなくてはなりません。
そのために利害関係者に自分(自社)の事を知ってもらうことは極めて重要なのです。
利害関係者の利害とは
もう一つ付け加えると利害関係とは決してお金だけの関係ではないのです。
「この人(企業)に頼むと素晴らしい仕事をしてもらえる」
「この人(企業)から受けた仕事をやると喜んでくれる」
「この人(企業)と一緒に仕事をすると成長できる」などなど
様々な価値をトータルで交換しながら商売が成り立っているのです。
価値=お金とは限らない
シンプルな例で言うと可愛い子にジュースを奢るのと、オッサンにコーヒーを奢るのだと同じ100円でも決して同じ価値ではないですよね?
私はそういう小さい人間です。
もっと言うと奢る金額が1,000円vs100円でも100円の方が高く感じる場合もあるかも知れません。
人間性を疑われる例ですが、価値とはそういう事です。
事業を行う上での判断基準
話を経営理念に戻すと、たとえ個人事業であっても理念はとても重要です。
利害関係者に自分(自社)の考え方を知ってもらうことや、何かに迷った時に自分自身が立ち戻れる指標として必要なものなのです。
あまり良い視点ではないですが例えば仕事を断りたい時に、情や相手の押しに流されて断りにくい時がありますよね?
そんな時に明確な経営理念があれば、(理念に反する、または沿っていない場合)キッパリと判断ができるわけです。
今の利害関係者間の状況を客観的に見る事ができるとも言えます。
事業において「やる事」を決めるのと同じくらい「やらない事」を決める事は重要なのです。
理念と信用
経営理念=プロフィールと言いましたが、「なんかこの人プロフィールと違くね?」という事ってありますよね。
個人のお友達探しで考えると本当ゲンナリしますよね。
事業でも全く同じで、理念と実態がかけ離れていると利害関係者の信用を失います。
お客様が離れていく、従業員が退職する、外注先に断られる、などなど。
とは言え、商売をやっていると必ず矛盾が生じます。どんなにカッコイイ事を言っても食べられないと意味がないですから。
でも矛盾が生じる事は問題ではありません。生じた矛盾を埋めていく活動が事業の意義だと私は考えます。
大企業に見る経営理念
理念と言っても難しいという人に向けて大企業の理念を少し紹介します。
ちなみに経営理念は短く要約されている事が多いですがルールは無いので、ありったけの理念を掲げても良いでしょう。
(※海外企業の部分は和訳です。経営理念の定義については私個人の判断です。)
「Google の使命は、世界中の情報を整理し、世界中の人がアクセスできて使えるようにすることです。」
「私たちは表現の自由を信じ、すべてのユーザーが、世界に影響を与える力を持っていると考えています」
Microsoft
「地球上のすべての個人とすべての組織が、より多くのことを達成できるようにする」
Amazon
「地球上で最も豊富な品揃え」そして、「地球上で最もお客様を大切にできる企業であること」
Dropbox
「Dropboxの使命は、世界中のユーザーの日常をシンプルにすることです。」
楽天
「イノベーションを通じて、人々と社会をエンパワーメントする」
ソフトバンク
「情報革命で人々を幸せに」
ファーストリテイリング(ユニクロ)
「服を変え、常識を変え、世界を変えていく」
ニトリ
「住まいの豊かさを世界の人々に提供する。」
京セラ
「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類、社会の進歩発展に貢献すること。」
トヨタ
1.内外の法およびその精神を遵守し、オープンでフェアな企業活動を通じて、国際社会から信頼される企業市民をめざす
2.各国、各地域の文化・慣習を尊重し、地域に根ざした企業活動を通じて、経済・社会の発展に貢献する
3.クリーンで安全な商品の提供を使命とし、あらゆる企業活動を通じて、住みよい地球と豊かな社会づくりに取り組む
4.様々な分野での最先端技術の研究と開発に努め、世界中のお客様のご要望にお応えする魅力あふれる商品・サービスを提供する
5.労使相互信頼・責任を基本に、個人の創造力とチームワークの強みを最大限に高める企業風土をつくる
6.グローバルで革新的な経営により、社会との調和ある成長をめざす
7.開かれた取引関係を基本に、互いに研究と創造に努め、長期安定的な成長と共存共栄を実現する
「理念を作る上で大企業を参考にしてもなあ・・・」と思うかも知れませんが、理念に事業規模の大小はあまり関係ありません。
法令遵守や意思統一といった観点からはむしろ小規模(または個人)の方が圧倒的に有利です。
そして「公私混同」という言葉がある通り、事業とは公のものでありガチガチの私(素の自分)と混同してはいけません。
逆に言えば事業者としての経営理念は素の自分ではなく、「自分がどうあるべきか、どうありたいのか」を示す事ができるのです。
これがメンタル面で非常に有効なんです。だってそうじゃないですか。
「人の役に立ちたい」「人助けをしたい」「みんなの仲間になりたい」とは誰しも思う(と私は信じてる)素晴らしい人間性です。
ただその素晴らしい協調性や自己犠牲精神を24時間365日発揮してたら普通の人はイッちゃいます。
そういう社会にとって価値のある人間性を経営理念に凝縮する事で、「本当はそうではない時がある」素の自分を守ってあげられるのです。
副業・複業を含めた個人事業に携わる全ての人々がそれぞれの経営理念を掲げる事が、当事者にとっても社会にとっても良い循環をもたらすと私は考えています。
WGSラボの理念
『生きとし生ける全てのオッサンに「へぇ~」と言わせます』